株式会社マルモ
保守終了という危機を、DXのチャンスに。1年の準備期間が実現した、製造を止めない基幹システム刷新
株式会社マルモ様
【日本システムデザインを選んだ理由】
- 鹿児島に拠点があり、何かあったときにすぐ相談できる距離感
- 業務を理解しようとする姿勢と、丁寧な対応
- 質問に対する迅速な回答と、的確なサポート体制
- 要望をしっかり聞き、それを形にしてくれる姿勢
【Salesforce導入サービスの効果】
- 短期集中移行により、現場の混乱を最小限に抑えて稼働開始
- クラウド化により、在宅勤務でも業務継続が可能に
- DXプロジェクトチームが立ち上がり、現場の改善意識が向上
マルモについて
―― はじめに、貴社の事業についてお聞かせください。
紺屋: 弊社は1928年、昭和3年の創業です。あと4年で100周年を迎えます。鹿児島県枕崎市で鰹節の製造を始め、1982年には鹿児島市内に削り節の工場を立ち上げました。現在は国内2工場で、鰹節の製造・販売、そして削り節や出汁パック、ふりかけなどの水産加工品を手がけています。
―― ものづくりへのこだわりを教えてください。
紺屋: 鰹節の大手メーカーは、節を仕入れて削って販売するところが多いのですが、弊社は違います。枕崎工場で鰹節を製造し、それを使った加工品を鹿児島市内で作る「一貫加工」を行っています。一貫した品質管理のもと、安心・安全な商品を届けることが私たちの強みです。
海外展開にも力を入れています。インドネシアの北スラウェシ州に子会社があり、現地で新鮮な鰹を使って製造しています。日本食ブームを追い風に、アメリカなどへも輸出しています。
保守終了を機に、クラウドへの転換を決断
―― Salesforceのシステム導入について伺います。システム刷新に至った背景を教えてください。
紺屋: 既存のシステムの保守期間が終了することになり、この機会にすべて見直したいと考え、システム刷新を決めました。
―― 刷新を検討された際、他に候補となるシステムやサービスはありましたか。
紺屋: はい、いくつかのシステムを検討していました。その中でSalesforceを選んだ理由はいくつかありますが、まずクラウドのシステムであるという点です。それまではオンプレミスのシステムを使用していましたが、今後はクラウドに移行し、災害時の対応なども考える必要があるという話が以前からありました。
また、Salesforceは経済ニュースなどでも多く取り上げられており、今後さらに成長していくシステムだと役員が判断したことも導入検討のきっかけになりました。
―― 導入を牽引されたのは、どなただったのでしょうか。
紺屋: 特定の誰かが主導したというよりは、私から提案をして、役員会で全員が参加して議論したうえで決定しました。
―― 旧システムでは、どのような課題がありましたか。
紺屋: 当時は意識していなかったんです。でも振り返ると、「これができたらいいのに」と思っても、声を上げることすらなかった。あるものをそのまま使う。それが当たり前でした。
役員から「こういう数字は出せないか」と言われる。でも答えは決まっていて、「できません」。今思えば、本当に不便でした。
距離感と理解が築いた、信頼のパートナーシップ
―― パートナーとして日本システムデザインを選ばれた理由は?
紺屋: 鹿児島に拠点があることが大きかったですね。何かあったとき、すぐ相談できる距離感は重要だと考えています。
それと、打ち合わせのたびに感じたことですが、こちらの業務を理解しようとしてくれていると感じました。鰹節製造という特殊な業界、複雑な業務フロー、それを一つひとつ丁寧に聞いてくれました。
―― プロジェクトを進める中で、印象に残っていることは?
紺屋: 要望をしっかり聞いて、形にしてくれる姿勢が印象的でした。基幹業務は複雑ですが、丁寧に対応していただきました。
質問すると、すぐに回答が返ってくる。迅速な対応には本当に助かっています。
―― システム移行のプロセスについて教えてください。
紺屋: 導入決定から移行まで、約1年の準備期間を設けました。この期間が本当に重要だったと感じています。
―― 1年間、どのようなことを進められたのでしょうか。
紺屋: 日本システムデザインの担当者が、弊社の業務を深く理解するために時間をかけてくれました。鰹節製造という特殊な業務プロセス、在庫管理の複雑さ、製造と経理の連携など、一つひとつ丁寧にヒアリングを重ねていただきました。
この期間があったから、弊社に最適なシステム設計ができたと思います。単なる置き換えではなく、業務課題まで理解していただけたことが、スムーズな移行につながりました。
―― 実際の導入はどのように進められたのでしょうか。
紺屋: 準備を経て、2022年10月に完全切り替えを行いました。並行運用は難しいと判断し、移行前に1か月ほど並行入力でテストして、問題ないことを確認してから一気に本番稼働させました。
短期集中で進めたことで、現場の混乱を最小限に抑えることができました。
―― 移行は大変でしたか。
紺屋: 正直、大変でした。ただ1年かけて準備してきたこと、日本システムデザインにサポートしていただいたこともあり、最終的には大きなトラブルなく進めることができました。稼働後も製造や出荷が止まるようなトラブルは、一度も起きていませんね。
―― 製造業にとって、それは何より重要ですね。
紺屋: そうなんです。基幹システムが止まったら、業務全体が止まります。安定して稼働していることの重要性を改めて感じています。準備期間をしっかり取ったことが、この安定につながったと思います。このあたりの事情も日本システムデザインさんはしっかり理解してくれていました。
「見えない経営」から「数字で語れる経営」へ
―― 導入後の変化を教えてください。
紺屋: 2022年はコロナ禍の真っ最中で、感染して在宅勤務になる社員もいましたが、自宅から作業ができるのは非常に良かったです。
―― 現在、どの部署が中心に使っていますか。
紺屋: 製造部が中心です。購買、製造、在庫、すべてSalesforceで管理しています。販売や請求も同様で、経理部門もよく使っています。
特に在庫管理は大きく変わりました。どこの工場に何があるのか、海外在庫はどうなっているのか、その在庫をどの商品に使うのかといった詳細な部分まで管理できるようになりました。以前は全体像を把握するのが難しかったのですが、今は一目で分かります。
現在、紙やExcelで管理していた設備情報のシステム化を進めています。工場の機械の修理履歴を記録し、「前回いつ修理したか」「どこを直したか」をすぐ確認できる環境を整えているところです。 あわせて、導入時期や耐用年数も管理できるようにし、更新や買い替えのタイミングを把握できる体制にしていきたいですね。
―― データ活用の面では、どのような変化がありましたか。
紺屋: 一番大きいのは、ベテランの勘を数値化できるようになったことですね。 以前は数字を出しても、分析まではできませんでした。役員から「こういう数字を出せないか」と言われても、「できません」と答えるしかなかった。でも今は違います。必要なデータを出せるようになり、「できません」が「できます」に変わった。この変化は本当に大きいです。 例えば、在庫を見ながら「この商品、枕崎工場にこれだけある。海外在庫も合わせるとこうなる」といった具体的な数字で話せるようになりました。ベテランが経験で感じていたことを、データで裏付けられるようになったんです。
製造部を中心に、全員で改善を考える文化へ
―― 組織の意識も変わりましたか。
紺屋: 変わりましたね。Salesforce導入後、社内でDXプロジェクトが立ち上がったんです。「この機能を追加できないか」「入力をもっと効率化できないか」と、皆で話し合うようになりました。
それまでシステムに興味がなかったメンバーも、一緒になって改善を考えるようになりました。この変化は大きいです。
―― プロジェクトチームの構成を教えてください。
紺屋: 製造部が中心です。私がシステム担当で入って、工場長、生産管理、品質管理の4名で動いています。
「この数字、出せないか」「分解すると何が見えるか」といった議論をしています。
―― 機能追加はどのように進めていますか。
紺屋: 最初は「既存システムと同じことができるように」というところから始まりました。そこから新しい追加機能を検討して、日本システムデザインと協議しながらブラッシュアップしています。
具体例で言うと、請求書のメール送信機能なども追加しました。スピード感のある対応のおかげで、改善サイクルを早く回せていると感じています。まだまだ追加していきたいことがたくさんありますね。
劇的な変化より、新しい企業風土を作る土台に
―― 今後の展望を教えてください。
紺屋: まずは工場のDXをさらに推し進めていきたいと思っています。在庫に関する数字などはこれまでは紙に書いて、事務所に持ち帰って入力していました。これをタブレットを導入することで、その場で入力できる仕組みにする予定です。これによってペーパーレス化も実現できると思います。
―― 営業部門への展開はいかがですか。
紺屋: もちろん取り組みたいと考えています。実は営業部門でのSalesforce導入は、以前一度試したことがあるんです。ただ入力の負担が大きくて定着しませんでした。弊社の営業は6名しかいませんし、Excelや口頭でも業務は回るため、不便が表面化しにくくデメリットの方が大きく感じたんです。
昨年も割戻金の管理にチャレンジしたんですが、やはり入力の手間が課題で、いったん取りやめました。ただ役員も含めて「やった方がいい」という認識はあります。入力しやすい方法を検討しながら、1〜2年後には再導入したいと思っています。
現状のままでは、大きなリスクもありますから。人に依存する運用は再現性がないということです。仮に誰かが会社を辞めたら、その人が持っていた案件の詳細が分からなくなってしまいます。
営業の知識やノウハウもSalesforceを通じて数値化することで、属人化せずマルモという企業の資産にしていけるのが理想ですね。
―― 段階的にDX化の意識を進めていくということですね。
紺屋: そうです。Salesforceで何かを劇的に変えるのではなく、Salesforceを導入することで意識が変わっていき、マルモの新しい文化を少しずつ作り上げていくための土台になっていると感じています。
―― システム刷新を通じて、感じていることがあれば教えてください。
紺屋: DXの可能性が広がったことが一番大きいと思います。まだまだやりたいことがたくさんあります。余地がたくさんあると感じています。
――本日は貴重なお話をありがとうございました!
