MCPサーバーを利用しSalesforceデータ分析!

OpenAI、Gemini、Claude……。多様なAIの名前を耳にするようになり、新しい技術の波が迫ってきているのを肌で感じるこの頃です。
今回はそんなAIたちに、インターネットの情報ではなく「私の情報」で判断してくれるように工夫するお話です。
「私の情報」というのは、企業であれば「自社の顧客情報」や「自社の商談状況」のことです。それらをAIの判断材料に使えたならば、「自社の未来を予測」してくれる、自社専用のAI環境が作れるのではないでしょうか。
しかし、組織に存在する情報をすべて一ヵ所に保存している環境はごく稀でしょう。Salesforceを代表とするクラウドサービスや業務アプリケーション、AmazonS3などのクラウドストレージ、あるいはローカルファイルなど、組織運営ではさまざまなデータソースを使い分けていることがほとんどです。そういった形式の異なる分散した情報をAIにすべて与え、理解させるのは通常ならば困難です。
そこで登場するのがMCPサーバーです。
今回のブログでは、CData社のMCPサーバーシリーズを使用し、Claude(デスクトップ版)からSalesforceのデータとExcelファイルのデータを同時に参照する方法を紹介します!
CData社のMCPサーバーシリーズの製品ライセンスは有償ですが、30日間の無償トライアルもございます。
無償トライアルをご希望の方は下記の「お問い合わせ」ボタンから、必要事項を記入後にお問い合わせ内容欄に「CDataトライアル希望(Salesforce用MCPサーバー)」または「CDataトライアル希望(Excel用MCPサーバー)」、もしくはその両方を記載頂き送信頂けますと、無償トライアルを準備いたします。
MCPサーバーとは?
MCPサーバーの前にまずは、MCPについて説明いたします。
MCPとは
「Model Context Protocol」の略で、AI を外部データソースに安全かつ効率的に接続するために設計されたオープンソースプロトコルです。
つまり、AIから様々な種類のデータソースへ通信する形式をMCPとして共通化します。
規格を共通化するという点で、USB-TypeCのようなものと例えられたりすることもあるようです。様々な種類のデバイスを同じケーブルで繋げられるイメージですね。
MCPサーバーとは
データソースの機能をMCPに変換してAIアプリケーションに連携するプログラムです。
仮にMCPがUSB-TypeCのケーブルだとすれば、MCPサーバーは変換器に例えても良いかもしれません。
例えば、必ずしもすべてのデバイスにUSB-TypeCの差込口があるわけではないですよね。それでもUSB-TypeCを使いたい場合には、そのデバイスの独自形式に合った変換器を用意することで、USB-TypeCを使えます。このように変換器をイメージするとわかりやすいです。
つまり、MCPサーバーを利用し、異なる規格のデータソースをMCPで統一することで、AIが様々なデータソースを同時かつ同様に取り扱えるようになります。
【ちょっと深堀】MCPクライアント
少し技術的なお話になりますが、気にする方もいらっしゃるトピックだと思いますのでご紹介します。飛ばしていただいても大丈夫です。
ここまで直感的な分かりやすさのためにAIアプリケーションと呼んでいましたが、ここで指していたものは正確には「MCPクライアント」と呼びます。今回紹介するケースでは「Claude(デスクトップ版)」がMCPクライアントにあたります。私たちが実際に命令を入力する画面のことですね。
MCPクライアント自体はAIではなく、あくまでAIを利用するアプリケーションです。ユーザーとAI、そしてデータソースの間を取り持つ仕事をしています。
MCPクライアントは次の仕事をしています。
- ユーザーからAIへの命令を受け取る
- AIに命令を渡す
- AIが回答のために必要としているデータソースを、MCPサーバーから持ってくる
図にすると分かりやすいですが、AIとMCPサーバーは直接繋がっているわけではなく、MCPクライアントを介してデータを参照しています。ユーザーはMCPクライアントで「データソースの使用の権限」を設定することができ、曖昧な命令によるAIの誤操作を対策することができます。例えば、権限を参照のみにしておけば、誤ったデータ上書きや削除は発生しません。
MCPサーバーを活用してできること
MCPクライアントでは、AIがMCPサーバーを利用してリアルタイムのビジネスデータ、ツール、ワークフローにアクセスでき、結果としてユーザーは対話型AI を使用して自然にデータと対話できます。
加えて、情報収集やデータ分析、レポート作成、システム操作など複雑なタスクを自動化することができます。
AIがデータソースをMCPサーバーから受け取れることで、ユーザーの要求や背景に存在するデータを理解し、回答やアクションの実施が可能となります。
つまり、「自社の顧客情報」や「自社の商談状況」を背景情報として理解し、回答するAIが実現するのです!
それでは、実際にCDataのMCPサーバーを利用して、Salesforceの商談データとローカルにあるExcelファイルを統合した商談レポートを作成してみましょう!
MCPサーバーと各種サービスの接続設定
統合レポートを作成する前に、接続の設定を行います。
今回インストールするものはこちらです
- 「CData MCP Server for Salesforce 2024」:Salesforce用のMCPサーバー
- 「CData MCP Server for Microsoft Excel 2024」:Excel用のMCPサーバー
- 「Claude(デスクトップ版)」:MCPクライアント
CData社のMCPサーバーを利用します。こちらは30日間の無料トライアルがございます。
Salesforce環境はDE環境を使用します。商談は全部で31件です。
ローカルExcelファイルはこんな感じです。商談は全部で53件です。
では、「Claude(デスクトップ版)」が2種類のMCPサーバーを同時に利用できるよう、準備していきましょう!
「CData MCP Server for Salesforce 2024」のインストールと接続設定
- 下記の「お問い合わせ」ボタンから、必要事項を記入後にお問い合わせ内容欄に「CDataトライアル希望(Salesforce用MCPサーバー)」と入力し送信します。インストーラのダウンロードまでご案内いたします。
- ダウンロードしたexeファイルを起動し、インストールします。
- インストールした「CData MCP Server for Salesforce 2024」を起動します。
-
「MCP Configuration」タブのプルダウンから、「<new Configuration>(新規設定)」を選択し、任意の名前をつけます。
今回は「salesforce」としました。
※Claude上で表示される名前になりますので、SalesforceのMCPサーバーということがわかるような名前にしましょう。
-
「Auth Scheme」を「Basic」に設定し、各項目に値を入力します。
- User:Salesforceログインに使用するするユーザー名
- Password:ログインに使用するするパスワード
- Security Token:ログインユーザーのセキュリティトークン(参考:Salesforce公式ヘルプ)
- Login URL:「https://login.salesforce.com/」
- 「Connect」ボタンをクリックし接続を実行します。「Connection was successful」というポップアップが表示されれば成功です。そして必ず「Save Configuration」をクリックして、設定を保存してください。
-
「Data Model」タブでSalesforceのテーブルが表示されているか確認します。
「CData MCP Server for Microsoft Excel 2024」のインストールと接続設定
-
下記の「お問い合わせ」ボタンから、必要事項を記入後にお問い合わせ内容欄に「CDataトライアル希望(Excel用MCPサーバー)」と入力し送信します。インストーラのダウンロードまでご案内いたします。
- ダウンロードしたexeファイルを起動し、インストールします。
- インストールした「CData MCP Server for Microsoft Excel 2024」を起動します。
-
「MCP Configuration」タブのプルダウンから、「<new Configuration>(新規設定)」を選択し、任意の名前をつけます。今回は「excel_local」としました。
※Claude上で表示される名前になりますので、ExcelのMCPサーバーということがわかるような名前にしましょう。 -
「Connection Type」で「Local」を選択し、「URI」にExcelで作成した「商談データ」が保存してあるフォルダの絶対パスを入力します。
また、AdvancedタブからOAuthが有効になっているままの場合があるため、ローカルの場合はオフにします。
- 「Connect」ボタンをクリックし接続を実行します。「Connection was successful」というポップアップが表示されれば成功です。そして必ず「Save Configuration」をクリックして、設定を保存してください。
- 「Data Model」タブでSalesforceのテーブルが表示されているか確認します。
指定したフォルダ内のファイル名と、その中のシート名がそれぞれ階層構造になるようですね。
「Claude(デスクトップ版)」のインストールと設定
- 下記サイトで、ご自分の使用されるOS版の「Claude(デスクトップ版)」をダウンロードします。
- ダウンロードしたexeファイルを起動し、インストールします。
- インストールが完了したら、「Claude」を起動します。
- 左上のアイコンをクリックし、ファイル>設定>コネクタを選択します。
「コネクタ」にMCPサーバーで設定した「Configuration名」の名称がそれぞれ表示されるのを確認します。
MCPサーバーの設定前にClaudeを起動していた場合は、アプリの再起動をする必要があります。左上の「ファイル」から「終了」でアプリを閉じ、再起動後に改めて接続を確認してください。
以上で、設定が完了です。
SalesforceとExcelの統合レポートを作成してみよう!
準備ができたので、早速、「Claude」を起動してみましょう。
「SalesforceとExcelのデータを使用して商談レポートダッシュボードをhtmlで作成して!」
と聞いてみましょう。
プロンプトが走り始めました。しばらく待機します。わくわくしますね。
HTMLスクリプトが出来上がっていく様子が見られます!
そして、出来上がった出力結果がこちらになります(生成AIなので毎回結果が変わります)。
Salesforceのデータとエクセルのデータが同時に分析されていることがわかりますね!
Excelの件数とSalesforceの件数も、用意した環境のものと一致します。
デザインについても、チャートごとにタブで分けられていてなかなか凝っています。
また、右上の絞り込みによってSalesforceからの商談だけで見たり、Excelからの商談だけで見たりする機能も付けられています。流石AIといったところ……と感心してしまいます。
今回は「SalesforceとExcelのデータを使用して商談レポートダッシュボードをhtmlで作成して!」という1行の命令から、背景情報を集めてこれだけの品質のレポートを作ってくれました。生成AIですから、おそらくもう一度実行しても同じデザイン、同じまとめ方にはならないと思います。しかし、出力の構成が気に入った場合は、以降の出力例としてそのhtmlを添付してみるとよいかもしれませんね。
まとめ
今回は、SalesforceとExcelを利用してレポートを作成しました。MCPサーバーを用いてより多くのサービスを接続していくと、複雑な出力が期待できます。CData社のMCPサーバーシリーズには今回のケースで使用したもの以外に、AmazonS3やBoxといったストレージサービスに対応したものや、CSVファイルやJSONファイルの読み込みに対応したものなど、幅広い取り揃えがございます。これらにも無償トライアルの用意がございますので、ご希望であれば、下記の「お問い合わせ」ボタンから、必要事項を記入後にお問い合わせ内容欄に「CDataトライアル希望(○○用MCPサーバー)」と記載頂くか、MCPサーバーと接続したいデータソースの詳細情報を記載して送信頂けますと、適切な製品の無償トライアルを準備いたします。
MCPサーバーの設定さえできてしまえば、あとはMCPクライアントに一言「XXと〇〇で~作成して!」と指示するだけで、目的のことをしてくれます。そのMCPサーバーの設定も簡単なものですから、AIを活用するのは意外とハードルが低いものですね。
もちろん、想定通りに出力するかどうかの精査をする必要がありますが、レポートやダッシュボード程度ならば、デザインやロジックなどの知識を必要とせずに、誰でも作成できることでしょう!
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