Salesforceの生成AI、何ができる?

現代において、AIの活用は選択肢の一つではなく、もはや必須要素となっています。
世の中には様々なAIサービスが溢れ返っています。文章に特化したもの、リサーチに特化したもの、画像生成に特化したものなど様々なAIがありますが、その中でもビジネスに特化したAI、それが「Einstein」です。
本記事を読めば、SalesforceのAIにどのような強みがあり、それをどのように業務に活かせるかをイメージできます。また、Salesforceのデータに基づいた結果を得るためのプロンプトを作成する肝である「プロンプトビルダー」についても紹介いたします。
SalesforceのAI、その名もEinstein
改めて、Salesforceプラットフォームで利用できるビジネスに特化したAI、それが「Einstein」です。
Einsteinには10年以上にわたるSalesforceのAI研究の歴史が詰め込まれており、予測AIや生成AIのメリットを簡単に業務に組み込めるのです。
Einsteinを営業やサービス、マーケティングなど業務の様々な場面で活用すると、業務の効率化を図るだけでなく、顧客満足度や顧客体験の向上につながります。
営業で役立つEinstein機能
- 商談スコアリング
- セールスメール
Einsteinの予測AIによって、商談に関連するデータを予測・分析しスコアが付けられ、商談が成立する可能性を可視化してくれます。
あらかじめ作成したプロンプトによって、顧客や取引先の担当者に向けてパーソナライズされたメールの文章を自動で作成してくれます。
カスタマーサービスで役立つEinstein機能
- サービス返信
- ナレッジ生成
ナレッジや過去のお問い合わせから、現在やり取り中の内容に即した返信メッセージを自動で生成してくれます。
お問い合わせの内容からナレッジ記事のドラフトを生成し、ノウハウ共有の効率化を実現できます。
マーケティングで役立つEinstein機能
- Segment Creation
- Content Creation
「過去○ヶ月以内に△△の製品のウェブサイトを閲覧したお客様」のように自然言語で依頼すると、EinsteinがSalesforceに蓄積されたデータから自動でセグメントデータを抽出してくれます。
セグメントの特性に合わせたお客様へのキャンペーンメールを自動で生成してくれます。
Salesforceで生成AIを使うメリットとは?
ご覧の内容で、Einsteinには様々な機能があることが分かったかと思います。
では、様々なAIサービスがある中で、SalesforceでEinsteinを使うメリットとはなんでしょうか?
代表的な3つのポイントを紹介いたします。
- すぐに使える/繰り返し使える
- Salesforce上のデータを使える
- 強固なセキュリティ
Salesforceの利用者は、いつも使っているアプリケーション上ですぐにAIの機能を利用できます。
例えば、アプリケーション右上のアイコンから、いつでも対話型AIであるAgentforceにアクセスできます。
Agentforceとの対話では、その都度かしこまったプロンプトによって指示する必要はなく、「この商談の情報をまとめて」「タスク漏れの活動を教えて」など簡単な質問をするだけで、Agentforceがあらかじめ用意されたプロンプト(後ほど説明します!)の中から適切なものを選び、自らデータを探索し、情報をまとめてくれます。
一般的な生成AIツールは、基本的にはインターネット上で収集できる情報をもとに生成結果を出力します。学習データによっては、最新のデータではないことも考えられます。
しかし、EinsteinはSalesforce上に蓄積された情報をもとに生成結果を出力します。インターネットの情報ではカバーしきれない、みなさんが実際に業務で活用しているリアルな顧客データを使える強みがあります。
EinsteinはOpenAI GPTやGoogle Geminiなど外部大規模言語モデルを利用できますが、その際に「Einstein Trust Layer」を介するため、「外部へSalesforce上のデータに含まれる個人情報などの機密情報を共有しない」、そして「外部から有害なデータが社内に入り込むことを防ぐ」この2つの仕組みが備わっています。
プロンプトビルダーで再利用可能なプロンプトを作成
「プロンプト」とは、AIと対話する際の、人間が入力する指示や質問ですが、Salesforceではプロンプトビルダーを使って、信頼性が高く再利用可能なプロンプトを作成できます。
プロンプトビルダーの強みは以下の通りです。
- プロンプトテンプレート
- グラウンディング
- プレビュー
特定の仕様事例に合わせたプロンプトテンプレート種別が用意されています。
「ケースの概要」や「項目生成」、独自のリソースを定義できる「Flex」などがあります。
質の高い応答のために、Salesforce上のデータでプロンプトをグラウンディングします。
グラウンディングには、関連するレコードの項目や、フロー・Apexを参照する差し込み項目などが使用できます。
プロンプトビルダーでは実際のSalesforceのレコードデータに基づく応答のプレビューを確認できます。出力が期待した結果出ない場合は、プロンプトを修正してブラッシュアップし、結果の精度を高めます。
以下に、プロンプトビルダーでのプロンプト作成の一例を簡単に紹介します。
※Einsteinの有効化など、前提となる設定についての説明は省略いたします。
- プロンプトテンプレートの選択
- プロンプトの作成
- リソースの挿入
- プレビュー
- 項目にプロンプトを設定
- プロンプトの使用
今回は商談の項目から概要を作成するプロンプトを作成します。
プロンプトビルダーの「新規プロンプトテンプレート」より、項目生成プロンプトテンプレートを選択し、任意のプロンプトテンプレート名・API参照名を設定し、オブジェクトは商談、オブジェクト項目は概要を登録する項目を選択します。
プロンプトのセクションにAIへの指示を与えます。
今回は「以下の商談の項目より、商談の概要を255文字以内で生成してください。」と入力します。
「+リソースの挿入」より関連する項目を挿入し、プロンプトをグラウンディングします。
今回は、商談の件名、取引先、金額、完了予定日、種別、フェーズ、説明の情報を与えます。
「保存&プレビュー」より、一度プロンプトを保存します。
設定をプレビューより、商談レコードを選択し「プレビュー」をクリックし、結果を生成します。
精度を高める場合は、再度プロンプトを修正しプレビューを繰り返します。
プロンプトが作成出来たら、有効化します。
商談のページ編集画面より項目にプロンプトを設定します。
※動的フォームにて項目を表示する必要があります。
プロンプトを設定する項目をクリックし、Einstein生成AIの設定より、作成したプロンプトテンプレートを設定し、ページを保存します。
設定したプロンプトは、編集画面の項目の✨より実行できます。
「使用」をクリックすると、自動で項目に生成結果を登録できます。
プロンプトテンプレートの活用例を紹介
プロンプトビルダーで作成したテンプレートが、実際の業務シーンでどのように活用できるのか、具体的な例を職種別に見ていきましょう。
営業担当者向けの活用例
- 商談のNext Stepの提案
- テンプレート例:項目生成テンプレート
活動内容をもとに、商談のNext Stepを提示してください。
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{ 商談.件名 }
{ 商談.取引先 }
{ 商談.詳細 }
{ 類似の商談一覧 }
{ 取引先に関連する活動一覧 }
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カスタマーサービス担当者向けの活用例
- 問い合わせの内容の要約
- テンプレート例:ケースの詳細テンプレート
問い合わせ内容を以下の形式で要約してください。
・概要:
・類似のケース:
・関連するナレッジ記事:
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{ ケース.件名 }
{ ケース.種別 }
{ ケース.詳細 }
{ 種別に関連するクローズケース一覧 }
{ 種別に関連するナレッジ記事一覧 }
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マーケティング担当者向けの活用例
- ターゲット顧客向けのメール文作成
- テンプレート例:Flexテンプレート
キャンペーンのターゲットに向けたメール本文を作成してください。
メール本文には、以下の要素を含めてください。
・ターゲットの注意を引く冒頭の一文
・ターゲットが共感できる課題の提示
・製品がどのようにその課題を解決するかの説明
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{ キャンペーン.件名 }
{ キャンペーン.製品名 }
{ キャンペーン.目的 }
{ キャンペーン.ペルソナ詳細 }
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まとめ
いかがだったでしょうか。Salesforceのビジネス特化型AIであるEinsteinが営業・サービス・マーケティングをはじめとした日々のあらゆる業務の効率化と、顧客満足度の向上に貢献することが分かったかと思います。さらに、プロンプトビルダーを使うと、再利用可能な指示を作成し、継続的に精度を高めながら業務に組み込めます。
AIの動向は数か月単位で目まぐるしく変わります。SalesforceのEinsteinやAgentforceも例外でなく、次々と新しい機能やツールが追加されていきます。
弊社ではSalesforceの定着・活用や運用保守・開発のサービスを提供しています。本記事でご紹介したEinsteinやAgentforceなどAIを活用した業務の効率化・自動化についてもお気軽にお問い合わせください。「お問い合わせ」ボタンから、必要事項を記入後にお問い合わせ内容欄に「Einstein案内希望」と入力し送信頂けますと、折り返しご案内いたします。
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参考元URL
「Agentforce(エージェントフォース)」とは? スペシャリストに聞く13の質問
【Salesforce Einstein】Salesforceが開発するAI、Einstein(アインシュタイン)ってなんだ?
Einstein 商談スコアリング
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もしマーケティングとカスタマーサービス業務に
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